special report!
2004年 アメリカ ツアーレポート


みなさ〜ん。お元気ですが〜。すがぽんです。今日は午前中の飛行機でNYに出発すると言うことで朝の5時半に起きて支度してだったのでかなりハイです。このテンションがいつまで続くか分かりませんが今回もツアーレポートします。今回は2年前によんで頂いたNYに2回目の参上と言うことでかなりプレッシャーが掛かっております。しかも今回はなんと水と油始まっていらいの『スープ』『机上の空論』の2本立て。やっぱり初めてのことをするのは特に緊張しますね。でもやらねば、そしてやらせて頂くからには勝たねばですよね。よーしやったるで〜。

機内です。まだゴールデンウィーク前だというのに満員御礼状態でした。僕らの座席の前に国際結婚された方達の家族が何組か座っていました。やはりハーフの子どもは殺人的にかわいいですよね。ホント反則です。そして自分がかわいいことを誰よりも知ってますよね。オムツ一丁で歩き回ってこちらを見ては隠れてとちょっかい出せと言わんばかりにこちらに罠を仕掛けてきました。いかんいかんまだ乗ったばかりでこれから12時間近くここいなければならないのにこんなに早い段階でこの子につかまると寝られず大変なことになるとゴーゴーンと戦ったヘラクレスでしたっけ?のように、目を見るな目を見るな。見ると石にされるぞ!と自分に言い聞かせてふと横をみると目をハートにさせたじゅんじゅんが今にもその子に声をかけんばかりに身を乗り出していました。危ないじゅんじゅん!!身を呈してとめる僕。すると正気に返ったじゅんじゅんが「そうか 。」とそっけない一言を残し読んでいた本に戻りました。本当に危なかった。こうして平和とは知らず知らずに守られているんですね。ゆけゆけすがぽん。がんばれ!すがぽん。今日も誰かがどこかで君を待っている!!

そんなこんなで僕らの機内での快適な生活も無事終ろうとしていると、気流の関係で飛行機が大きくゆれました。もともと飛行機が得意ではない音響の伊東さんは明らかに不安な顔で何もなかったかのようにゲームをして自分を安心させているご様子。とそこへ更に大きな揺れが続きました。それに驚いたのは伊東さんではなく先程のハーフの天使達でした。ひとりが「ママー助けて!」と泣き出すと連鎖的に次々と天使達が泣き出しました。それはまるで青空球児・好児さんのネタのようにゲロゲーロゲロゲーロ状態でした。揺れが止まり暫らくするとまたもとの天使達に戻りオムツ姿でけらけら笑って歩き回っていました。やっぱり天使には笑顔が一番ですね。本当にかわいかったな。

何時間か寝たとは言うもののさすがに機内では熟睡はできず皆少し顔に疲れの色が見えました。若干ぐったりしながらお迎えしていただいた車に乗って移動していると突然NYの街並みが見えてきました。残念なことに曇で遠くの建物は霞んで見えなかったのですがそれでもみんなテンションがあがり息をふきかえしました。劇場に着くと2年前の事が鮮明に思い出されてとても感動的でした。前回鏡のような大きなビルと称していたジャパンソサイエティーの建物の隣のビルにヤンキースの松井選手が住んでいるそうです。ちなみに一度ジャパンソサイエティーの劇場で記者会見をしたこともあるそうです。世界の松井選手がすぐそばにいるんですね。そんなお話を聞きながら劇場に入ると『机上の空論』の机が出来上がっておいてありました。みんなの口から「ウォー!」という歓声が漏れました。机があまりに重い為日本から持っていくことは出来ず作っていただいたのですが、そのできばえに惚れ惚れして見ていると「ん?若干低くない?」じゅんじゅんが机の低さに気付きました。確かにとみんなも自分の演技をシュミレーションしてみると低い事が判明。原因は作り方の違いでいた。そして急遽脚を直してもらう事に。宮井さんこんな急なお願いを聞いてくださってありがとうございます。ほんとこころ強い味方です。感謝!感謝!です。

スタッフを食事休憩に出すという事で早速僕らもお昼?を食べに行くことにしました。アイリッシュパブ風の店でみんなそれぞれサンドウィッチを頼み待っているとすごい量のハンバーガーが届きました。そうだったここはアメリカだったのです。軽食のはずが大変な事に・・・。みんな若干無理をしながら食べ劇場に戻ると、今度は満腹になって恐ろしい睡魔との戦いが待っていました。じっとしていると寝てしまうのでみんな足踏みをしながら小道具の用意をしていました。辛かったなー。

そんなこんなで時間は過ぎ劇場がしまるので8時に劇場を後にして何か食べようと言うことになったのですが、なにぶん昼食?のサンドウィッチがたたり、皆あんまりお腹がすいていないご様子。しかし、そんな中じゅんじゅんとももこんはお昼スープだったのでお腹が減っているみたいでした。そこで荷物を置いて近場をぶらつきなにかつまむ事に。暫らく歩くと食べる場所のあるデリという出来合いの惣菜屋というか、バイキングと言うかとにかくパスタやチャーハンなどを自分で入れ物に詰めてその重さの分のお金を支払うシステムの店・・・。あれ?もう知ってます?ですよね・・・。これは失礼致しました。で、その店の二階に食べる場所があると言うことでそこで軽く食事をとる事にしました。その店に用意されている容器はフライパン付きポップコーンの様なアルミのめちゃくちゃ大きな容器で、その容器の空間を無意識に埋めようとしてるのかみんなお腹いっぱいと言いつつめちゃくちゃ詰めまくっていました。「それではみなさんいただきま〜す。」と食べ始めた瞬間みんなの顔色が変わりました。みんなそれぞれ口にしたものの感想をここに書き記しておきますと、「この焼きそば硬いところと柔らかいところがある。」「このオニオンリング、リングだ!(たまねぎが入っていなくて衣だけらしい)」「このチャーハン米に芯があるっていうか生米だ!」ん?生米って平気なの?確か以前読んだ漫画三国志で生米を食べた兵隊さんは体調崩していたぞ。やばいんじゃないの?この展開明後日本番なんですけど〜。しかも今回は地元雑誌にもこの舞台は是非観にいけ!って感じで紹介して頂いているようなので絶対に勝たなければならないのに。その後みんな言葉少なめに食事終了。

さすがに今日は早起きしたのと機内泊だったのとでみんな疲れきっていました。照明の阿部さんにいたってはNYにつくなり休みなしに仕込みをやってくれました。ありがたや、ありがたや。それではみなさん今日は僕も早めに寝ます。おやすみなさい。


こんちは。じゅんじゅんです。いよいよ初日っす。春の日差しが暖かい今日のニューヨークははたして僕らにもあったかいのかなあ?

今日は9時に集合。昨日リハーサルをしたらやはり机上の空論の机のサイズの違いが露骨にでて、作品はバラバラになっていました。机上の空論で使う机というのは2メートル近くある机なんだけど、やはり海外に送るには大変という事で、現地で作ってもらう事になったのよ。しかし細かい寸法が違ったり素材が違ったりしていたんです。まあそれはある程度覚悟していたんだけれど、実際に動いてみるとかなりシビアに使っていたんだなあと再認識。例えば、天板の素材についても机の上でスライディングなぞをすると、作ってもらったやつだと滑らずに突っかかってしまうわけです。それに天板の厚さもつかんだ時に違うと力のかけ具合が違ってしまい、上手く動けないという事態が発生!大げさにいうと体操の鞍馬や鉄棒のサイズが違うというぐらい違う感じがしたんですな。

 毎度毎度のトラブルですが、今日は朝からひとつひとつ確認&手直しをしていきました。こっちでの舞台監督&コーディネーターは宮井さんという人で、前回もニューヨーク公演のときにお世話になって以来なんですが、以前よりずっと水ちゃん油ちゃんに馴染んでいます。関西出身ということもあって、独特の調子で作業を進めていきます。ガースーはすでにガースー呼ばわりです。照明の作業に入ると楽屋にやってきて、くだらない話で場を盛り上げます。何でも『惑星ピスタチオ』の舞監だったそうです。何でニューヨークに来たんすか?と訪ねると「借金で首が回らなくなってさ、、、」とウソだかホントだかわかんないトークで皆を煙にまきます。

 午後からゲネプロ。こっちでいうドレスリハーサルです。しかし朝からかなりあせりつつの作業だったため、この時ボキの体力はすでにマイナス。最悪の状態でのゲネとなりました。途中何回か意識が遠のきつつのゲネ。多分よだれは出ていたと思います。おもらししないだけましでした。そんな感じのゲネを何とか終了し、あまりにも痛い自分の出来に、自分を嫌いになろうかと思いましたが、「嫌いになる前に休んどけ」という心の声に従って、狭い楽屋でずこーんと横になり寝ました。他の皆は邪魔そうにしていましたが、こっちもギリギリです。かまわず一眠り。その後ほんとに眠ってしまったらしく、起きるともうすぐ準備の時間でした。イヤーしかし寝たら疲れ取れたね!人間寝るもんだね。みんなも疲れた時は寝るといいよ!やけに元気なボキ皆迷惑そうに見つつ、開場の時間になりました。今回は2本立てのプログラムで机上の空論とスープをやるんです。水ちゃん油ちゃん海外では初の試み。最初は机上の空論なので緞帳はしまっています。向こうからお客さんの声が聞こえてきます。何と今回はほぼチケットも売り切れているとこのこと。ひぇー。がんばんないとな。

 いざスタート。最初は探られているかなあと思ったのですが、何とか空気をつなぎつつ机上の空論終了。何とブラボーの声あり!拍手も心なしか強いような、、、。お、お客さん面白かったですか?休憩をはさんでスープ。コレはさすがに慣れているよな。悪くない状態で作品は終了。終ると拍手はかなりつよい感じで来ました。イヤーとりあえずは何とかなったかなあ。終ってレセプションが始まり、待っているお客さんの前に出ました。皆さんの暖かい拍手をもらいつつ歓談に。ジャパンソサエティの塩谷さんが「こっち来て!」といっているので行くと、「マーク・モリスが来てくれたの!」といってマーク・モリスを紹介されました。彼は力強い握手の後、「最高の舞台だった、良かったよ!」とかなり興奮気味で感想を述べてくれました。すげ−間抜けな事に僕、彼のこと知らなかったんです。アメリカでかなり有名な振付家とのこと。へーそーなのか、、。と後からジワジワ嬉しくなしました。他のお客さんもかなり残っていて色々感想を言ってきたり質問をしてきたりと嬉しい時間でした。一番多かったのは「皆で作るってどんな風に作っているのか?」という質問でした。そのたびにこんな風にやってまっせ、となれない英語で話しつつ、ワインを飲みつつでした。日本人も何人か来ていて、知り合いもいたりでびっくり。こちらの日本人の人は僕が話した人はダンサーとかライターとか、なんかやっている人が多く質問もかなり専門的だったりして、答えるこっちも思わず考えさせられるような質問が多かったのが印象的でした。



 明日のバラシの後が早いので、今日打ち上げをする事に。前回行ったインド料理屋に行きました。皆でご飯を食べつつ、色々話しているうちに、いつしか業界のウラ話に。とてもここには書けないような「噂の真相」の連射に一同ピンズラ&「え゛ー」の連発。お、おとなって、、、。なんていいつつ初日の夜は更けていきましたとさ。おしまい。


今は、もうミドルベリーというところにいます。ニューヨークから飛行機で飛ぶ事一時間。昨日までいたニューヨークとは驚くほど雰囲気が違います。あっ、ご無沙汰しております。おのでらんです。今回のアメリカのツアー何と4箇所も回る為、今日は朝5時に起き、6時過ぎにはホテルを出発しています。さすがに眠いのです。昨日の公演は初日と同じくすごく盛況でした。2年前に来た時に観てくれたお客さんがまた観に来てくれるケースが多い事にびっくり。2年前も「スープ」だったのにもかかわらず皆一様に「二度目でも新鮮だった。」といってもらえたのにはかなり感動しました。でも個人的にはまだ稽古不足が否めません。大きな失敗はないもののいつ失敗してもおかしくない様な感じです。とにかくもう少し頑張らねばと固く心に誓うのでした。

さて、ミドルベリーですよ。とてもきれいな街です。ここにあるミドルベリー大学内のスタジオ(スタジオといっても劇場です)で公演をするのですが、この大学、とてもゴージャス!です。設備は充実しています。迎えに来てくれたララさんの説明によると語学教育とダンスが盛んな大学だそうで少人数でのクラス編成というのも特徴だそうですよ。それはそうとこのララさん!日本語が堪能でとても有能です。聞くところによると今回のミドルベリ−の公演はこのララさんがほとんど段取りをしてくれたとのこと。本当に感謝感謝。そして僕は知らなかったのですが、「ベン&ジェリー」というアイスクリーム屋さんはここが発祥とのこと。時間が空いたら是非いってみたいものですな。

さて劇場に着くと早速スタッフの方々は仕込みに入ります。あんなに早くから起きているのに・・・すみません。僕らもなにかせねばと小道具などを作っていたのですが、それもあっという間に終ってしまいます。せめても皆さんに差し入れでもと、すがぽんとももこんと共に例のアイスクリーム屋さんの一号店にご機嫌伺いに出発です。と、途中で・・・。あれっ!お腹が!このツアーに入ってお腹の調子は絶好調だったのに!お店の直前で猛烈な腹痛に襲われ、あわてて劇場にもうダッシュです。何とか用を足し、店に戻り、差し入れを買いましたが、この腹痛なんかいやな予感です。何もおこらなければ良いのですが・・・。

そんなこんなであっという間に時間がたち、仕込みをしている照明の阿部さんをおいて、主宰の学校の先生方との夕食会の開場にいます。場所は劇場からほど近い中華料理屋です。やはりライスはいいですねぇ。そしていい忘れましたが今回、日本語の使用頻度が高いのです。というのも、先程も書いたとおり語学が盛んな地域柄か校内でも「こんにちは!」「お元気ですか?」という言葉が飛び交います。ですからほとんど日本語で通じてしまいます。そんな中、またまた出ました!すがぽんの中国語。来ていた先生の中に中国語を教えているという方がいてその方とのトークでまたワンランクUPです。なんだか良い感じでいよいよ明日はミドルベリーの本番です。大学生相手にどうなるか心配ですが、頑張りマース。



こんにちは、ももこんです。ミドルベリー大学に来ています。緑が多くとても気持ちのいい所です。冬は零下35℃にもなるそうです。瞳が凍る感覚があるとのこと。寒いのが苦手な私には無理です。先日もとっくりのセーターを着て歩いている私の横をノースリーブの学生が歩いて行って、体感温度が違うのだなあと実感しました。学生は99パーセント大学内の寮に住んでいてここで4年間を過ごします。今回は大学のダンススタジオで公演を行うのですが、日中はそこで授業が行われている為公演準備は4時からとなります。芸術学部にはこのダンススタジオのほかにも演劇用の劇場、コンサートホールがあり充実しています。この大学は日本語を勉強している学生がたくさんいることも特徴です。

日本語の先生と一緒に寝泊りしている「ジャパニーズハウス」という合宿所のようなところに行きました。そこは英語禁止で日本語で話さなくてはいけません。そういう生活を送っていると上達もはやいようです。中に入ってみると壁には習字大会で書いた作品が貼ってあります。「花」「夢」「大志」に混じって「逮捕」「変態」という字も…。小学校の書道の時間では「初日の出」とか、何を書きなさいと決められていましたが、改めて考えると何の言葉を選んで書くのかというのがまずスタートなのですね。あまりにシュールで話題独占でした。書道では、はらいやとめがとても難しかったと言っていました。最近触れる機会のなかった書道ですが大切な日本の文化だと改めて認識。小学校の授業で必修だからこそいつの間にか身にしみているのですね。


午前中に4年生の日本語の授業に参加して学生達と話をしました。なぜ日本語の勉強を始めたかが「あまり人が選ばないから」という、マイムを選んだ理由と似ていて盛り上がりました。そのクラスの中にゆういちろう君という日本人留学生がいるのですが、彼は昨日行ったWSでも通訳をやってくれるほど英語が上手です。「どうして日本語のクラス?」と聞くと、「今までの人生の半分以上を海外で過ごし、自分が日本人であることもっと自覚する為に勉強している。」とのこと。改めて「自分の帰る場所」について考えさせられました。海外で公演をしているとその土地の人と結婚された日本の方にお世話になる事がありますが、みんな仰ることが「両親が亡くなったら日本にはもう行くことはないだろう。」ということです。存在が用意されているものではなくて自分で作っていくものだと思う瞬間です。

さて、そのゆういちろう君が所属しているブレイクダンスのチームのメンバーがとても会いたがっている事を聞かされて、会いに行くことにしました。マイムとブレイクダンスは近くてメンバーがとても興味を持っているとのこと。彼はとても良く響くナイスな低音で話すのですが、彼が言うにはそのチームのメンバーは、あらゆるスタイルの達人が集まっているそうです。よくよく聞くと始めて六ヶ月!少し不安になりながら彼らの稽古を見せてもらいました。集まってきたのは総勢4人。みな、確かに個性的な人たちです。特にリーダーのMOJO君は、身体も大きく動きに迫力があります。ひとしきり彼らのダンスを見せてもらった後MOJO君が「僕は、あなた達に教えたい!」ということで、急遽ブレイクダンス教室の開催です。「教えたい!」という日本人にはあまり見受けられない欲求のもと、思った通りブレイクダンスは難しく、そんなすぐには格好良く出来るはずもないのですが、何かはまる要素を持っていて、私達は次第に夢中になっていきました。マイケルジャクソンのムーンウォークに似た動きを習いました。今度水と油の作品で取り入れていたら彼らの指導の賜物です。

本番当日だというのに今日は朝から目白押しの一日でしたが、4時になり公演準備を始めます。いつもは朝から色々と手直しをして本番に臨むので、どうなるか不安でしたが観客の受けも良く、無事終了しました。この土地での公演は未だかつてなく多くの人と知り合ってからの公演で、終演後もたくさんの人と話せて嬉しかったです。一回公演ですぐさま撤収し、明日は朝6時に出発です。


こんちは。じゅんじゅんです。ツアーは続いてます。
ミドルベリーでの本番を終え、一日がかりでインディアナというところに移動しました。こっちでは空港から劇場とかホテルまではバンでの移動なんですが、机上の空論の机も一緒に積み込むため、毎回すごいことになっています。それに加えて皆のスーツケースや小道具箱なども一緒です。後ろの席には4人がけです。もちろん日本のワンボックスよりはでかいんだけどなんせそんな状態で2時間!ひたすら自分を仮死状態にしての移動です。だって一回「狭いな」なんて思い始めたら、「でらんねえよお!」となり「きぃいいー!」と奇声を上げることは必至です。まだまだフツーでいたい僕チンはとにかくガマンしました。

 インディナも大学での公演です。ここは前にニブロールが来て、ピッツバーグのアタックシアターとのコラボレーションをやったとこなんですと。今日は劇場に入ったらすぐにワークショップのプログラムがあったのです。最初のクラスはシアタームーブメントという名の授業にお邪魔しました。そんなクラスがあるんだねえ。どんなことやってんのかなあ。聞くと色々マイムみたいな事もやっているとのこと。ふーん楽しみだなあ。授業時間になり学生は12人ぐらいかなあ。わらわらとやってきてはじめることに。色々とこちらの紹介をした後少しデモンストレーションを見せて、幾つかのエクササイズをやりました。デモでは「部屋の中」を見せたんだけど、すごく反応もよく色々活発な質疑応答になり、あっという間に時間となりました。このクラスは主に俳優を目指している人が多かったです。俳優といってもテレビをやりたいとかミュージカルとか色々でした。次にバレエのクラスに行くことに。前から聞いてはいたんだけれど、いったいバレエの人に何教えたらいいんだろう、とちょっとピンチな状態でした。教室も劇場で立派なかんじ。クラスの先生と話をしていると、いかにもバレリーナといった感じのアメリカンギャルが入って来ました。ひぇえぇぇぇ!足なげー!その後も続々入ってくるバレリーナの卵たち、、、、。ほんとにやんのかよ、、、、。

 ちょっと僕チン逆切れな状態で授業スタート。水と油の紹介をしつつ、色々聞いていくと、まあ結局、大学のクラスなので全員がバレリーナ志望というわけではないらしく(もちろん何人かは混じってはいますが)そんなに肩肘張らずにやっているようで一安心。日本のバレエクラスとかによくいるひっつめねえさんみたいなのはいませんでした。今回はちょっとダンス向けのエクササイズを中心にワークショップを進めていきました。最後に順番こにちょっとインプロをさせてみるとなかなかに興味深いダンスが生まれていました。でもバレリーナはインプロでもバレエだなあと感心したり、あとやっぱまだ学生は学生なんだなあなんて思ったり、色々見えてくるものがありました。


 終って飯を食った後、劇場で作業再開ですが、主に照明の仕込みで僕らは楽屋で待機ってな感じの休憩時間。イヤーほんとにここんとこ海外ツアーでも日本と変わんないねえ、自分たちで全部やってたエジンバラとかアヴィニオンの頃が遠い昔のようです。うだうだしゃべっていると宮井さんが入ってきました。宮井さんも暇なのか、トークに参加してきます。いつしか話題は宮井さん仕切りの「女とは」「結婚とは」なんて路線にスライドしていき、宮井さん独得の『宮井哲学』を拝聴する僕ら、なんて図式になっていきました。そんで話しつつ、ちょくちょく宮井さんはステージに仕事で戻っていくのですが、残った僕らは普段話もしない「結婚てさあ」とか「つきあうってのはさあ」なんて話題を話し出している始末!きっと宮井さんという『草』を嗅いで、みんなトリップしていたんだな。あのときみんな向こう岸だったね。なんともちぐはぐな空気が漂っていました。水ちゃん油ちゃんと「男女関係(エッチあり!)」。こんなに合わんもんはないよ。

8時ごろに通訳の桂子さんが中華のバイキングに連れて行ってくれて、夕食を食べ、ホテルに帰りました。イヤー今日は『宮井さんの日』だったなあ、、、。おちまい。


みなさんお元気ですか?無事ニューヨーク・ミドルベリーでの公演を無事に終えてついに折り返し地点ピッツバーグ公演を迎えようとしている、私すがぽんです。みなさんはいかがお過ごしでしょうか?やっぱりアメリカは広いですね。本当に驚かされます。なんで同じ国なのに時差があったりするんだとか。見渡すかぎり草原だったり山だったり。飛行機の中でアメリカの地図を見てもぴんときません。果たしてアメリカの人々はどのくらい自分の国のことを分かっているんでしょうか。日本でも行ったことない所がいっぱいで、都道府県名を言うのもやっとなのに・・・。ミドルベリーのララちゃんに聞いたところによると州の名前に関しては歌があるそうです。ABCの歌にしてもそうですがやっぱり歌って偉大ですね。僕なんて英語の辞書引く時は必ず歌っちゃいますもん。中学の頃から進歩がないな〜。

ここで僕の個人的なニューヨーク・ミドルベリー・ピッツバーグの印象をお伝えすると、まずニューヨークは、本当に大都会ですね。そーだなー、東京で言うと大きい銀座ってところでしょうかね。行っているエリアが少ないからちょっと片寄った意見かもしれないですけど。ミドルベリーは本当に良い感じの田舎でしたね。僕は三都市の中で一番好きな感じの場所でした。みんな伸び伸びとしていて笑顔がとっても素敵なんです。先生も生徒達も。あの学校でならまた勉強したいな〜と思いましたもん本当に。ピッツバーグはそうだな〜。ここも大学の町なんですが、ミドルベリーより少し大きくて都会かな?でも人はみんな親切で、都会の便利さと人の温かさをもった場所って感じでしょうかね?なんてかってな事言ってますが、違うよ!って思ってらっしゃる方がいても怒らないでくださいね。

で、インディアナ大学です。連日のワークショップ三昧でかなり長期滞在している気がします。でも実際は3日目なんですけどね。これまでを振り返ってみても予定がたくさん詰まっていたのでもうかなりの日数アメリカに滞在させて頂いてると思いきや、まだ9日目分からんもんですな〜。ちょっと忙しくて大変だけど、でもすごく毎日が充実しています。今回のツアーをコーディネートしてくれた宮井さんありがとうございました。ってまだ公演は終ってないのですが・・・。

本番当日の今日もワークショップでスタートしました。さすがに本番当日にワークショップをすると何だか今日本当に本番なのとみんなボケボケ状態になり、ちょっと不安です。今日のワークショップはジャズダンスを始めたばかりの初心者の授業で時間も短く45分。今回引率したのは高橋さんで途中先生だけが「みんな初心者だからもう少し簡単に。」と気をもんでいたようですが、みんな楽しそうに受講してくれていました。よかったよかった。

いざ、本番です。ここピッツバーグのインディアナ大学のホールは音楽用ホールらしくキャパシティーか大きいの何の。それはまるで3月にやらせて頂いた日本の山口県は宇部での公演を彷彿とさせる劇場です。オーケストラピットまであってとにかく舞台からお客さんまでの距離が遠いんです。果たして水ちゃん油ちゃんの演技はみんなの所まで届くのでしょうか?大きさでいうと隣に丁度良いサイズの劇場があるのですが、大学の演劇部の公演があるということで貸してもらえずこの大きなホールになったそうです。ということで同じ時間に公演をしている相手もいて今回はかなりの苦戦をしいられそうです。しかし、なにはともあれやるとなった以上は最善を尽くすだけです。幕が開き遠いながらもなんとか伝わったかな?という感じでお客さんを送り出しにロビーに行くとなんともうすでにお客さんはほとんど帰ってしまっていました。ありゃこれはどうした事かと思い、客席に近いところで作業していた、音響の伊東さんに「今日駄目でしたか?」と訪ねると「いやいや、そんなことはないですよ。みんな満足そうに帰って行きましたよ。これはいいもの観たといって帰った人もいましたよ。」と教えてくれました。ってことはなんとかやれたみたいです。あぶないあぶない。しかし今度やらせていただける時はもっと万全な状態でリベンジしたいな〜。

公演の片付けの後レストランで打ち上げをしたのですが、その時突然中年の男性がぱっと近づいてきて「今日はとても素晴らしいショーをありがとう!」と言ってくれたんです。公演が伝わったのか心配だったので本当に嬉しかったです。そこでメンバー一同全員ほっとしたようでした。なんだかんだ言っても生の声に勝るものはないですね。ぜひみなさんのお声も聞かせてくださいね。よろしくお願いいたします。

よーし!あと一箇所シアトル2公演がんばるぞーーーー!!


水と油ファンの皆さん、こんにちわ。今回のアメリカツアーで、ツアーマネージャーをしています宮井です。はじめまして。僕がツアーに同行するのはインディアナ大学までで、メンバーとは今日でお別れです。なのでさよなら記念に日記コーナーに登場することになりした。皆さん、ご存知のように、水と油のメンバーは本当に良い人たちなので、とても寂しいです。

水と油の舞台が面白く、非常に知的好奇心を刺激するのは日米ともに同じで、そういう意味では水と油がアメリカで受けるかどうかは全く最初から心配していませんでした。その通り、どの会場でも絶賛の嵐でミドルベリーのカーテンコールでは観客総立ちのスタンディング・オベーションとなりました。

実はちょっと心配していたのが、各地で催すワークショップでした。大学でのワークショップの参加者は非常に様々で、レベルも実にマチマチなことが多いです。しかも日本のように言われた事を素直に大人しくやる訳ではなく、よく言えば非常に積極的なのですが、時として勝手に拡大解釈をしたり、あらぬ方向に突っ走ってしまう人がいたり、また、面白くないと途中で勝手に止めて抜けてしまったり・・・。しかも教えるクラスの中には、演劇クラスだけでなく、バレエのクラスもあるのです。水と油がバレエ・クラスを教える??水と油の舞台とは反対に、メンバーは非常に普通の人たちです。いや、普通の人以上に善良な人たちで、こんな普通の人たちがどうやってあんな非日常の作品を作るのか、不思議でした。なので、ワークショップでもそんな学生達を上手く引き付けて納得させられるのか、どんなワークショップをしてくれるのか、心配でもあり興味もありました。かくして僕の心配は杞憂に終るのですが、高橋さんは非常に準備をしていて、簡単だけど、面白く、それでいて参加者が有効だと思えるような課題を次々に出して行きました。呼吸と動きの連動のさせ方や、一緒に踊るパートナーをいかにして信頼するか、またその中で、どう自分の動きひとつひとつに繊細になるべきか、なれるか?など、若い彼らが学ぶべき基礎的な内容を楽しませながら教えていきました。

ここインディアナで彼らの人の良さぶりが発揮されるエピソードを一つ。ワークショップのために大学側が通訳を手配してくれるのですが、2人いて、その2人ともに非常にキャラクターが強い人たちでした。二人に共通するのはあまり人の話を聞かないということなのですが、フユコさんは、まるで長谷川町子(サザエさんの原作)の漫画に登場する隣のおばさんのような風貌で、目がアニメキャラのようにクリクリとしています。ケイコさんは30年前にアメリカに来たということで、彼女の日本時間は30年前で止まってしまったのか?と思わせるアメリカの空港の免税店でよく見かける日系人の店員さんのようなキャラでした。この2人とも非常に良い人たちで、ケイコさんはみんなをアーミッシュの人たちの村に案内してくれて、フユコさんもモモコンさんを街にショッピングに連れて行ってくれたりしたのですが、最初に表現したように、間違ってしまうと、なかなか打ち解けられなかったかもしれないのに、水と油のメンバーは持ち前の善人パワーで非常に仲良くなってしまいました。彼らは本当に、色んな人と分かり合うことに労力を惜しまない人たちなのです。学生達とビリヤードやボーリングにも行きましたが、おのでらんとすがぽんは3枚目ぶりを発揮し、学生達の失笑(失礼!)爆笑を誘い、試合に負けてジュースを奢らされたり、じゅんじゅんは本気でやったボーリングで2ゲームともに100に届かず、女性も交えてダントツの最下位に甘んじ、あまりの本気さとあまりの低スコア−さに、ここでも女子学生たちの失笑(失礼!)同情(失礼?)爆笑を誘い、大いに場は盛り上がりました。公演は大成功。ワークショップも非常に有意義で、交流も深く温かいものになりました。

ももこん、じゅんじゅん、おのでらん、すがぽん、どうもありがとう。なにか失敗談や嫌な話を挿入して水と油の品位と人気に傷をつけてやろうと思ったのに、良いことばかり書いてしまった。そんな彼らだからこそ、水と油の作品は面白いんだね。ようやく分かりました。まだ、シアトルが残っているけど、持ち前の前向きさと周到な準備で乗り切ってください。今後の日本での活躍も期待しています。頑張って2万人動員できるようになってください。その時はブロードウェーでも公演しましょう!ってな感じで日記を終っても良いですか?すがぽん?!


ももこんです。シアトルに来ています。今回のツアーは20日間でいつもより長め。もう随分アメリカにいる気がしますがあと1週間です。シアトル公演は、地元出身のダンスカンパニーとのミックスプログラムで、水と油は「スープ」を上演します。昨日そのダンスカンパニー「LINGO」のメンバーと食事会がありました。LINGOは男性3人女性4人。メンバーのキャラクターがそれぞれ際立っていて並んでいるだけで何か始まりそうな雰囲気があります。スコットという男性ダンサーは高校の先生でマイムを教えているそうです。彼の顔つきや話す身振り手振りがいかにもマイム風で、思わず「マイムを勉強した時、その顔の動きは特別にならったの?」と聞きましたが、違うとのこと。マイムってもともとそういう顔の人が始めるのでしょうか。何はともあれマイムをやっているダンサーなんてめったにいないので、作品を見るのが今から楽しみ。

今日は中学校でWSがありました。40分だけでしかもLINGOと共同だったので、水と油は作品を見せるショーイングだけにしようと決めていましたが、出かける直前に「体験型にして欲しい」ということで急遽予定変更。一クラス30人をLINGOチームと水と油チームに分けて、最後に発表をすることに。本日のWS講師である高橋さんの案で人が入れ替わる動きをやってもらうことになりました。私たちアシスタントも見本を見せるため動きを確認します。KPC(今回の劇場)のロビーで稽古すること30分。

中学校に着いて食堂兼の講堂で始まりを待ちます。開始5分前になって、KPCスタッフのジャッキーが「もしかしたらもしかするけど40分全部やってもらうかも・・・。」よく考えるとLINGOのメンバーまだ来ていません。あらあら。それなら小道具持ってきたのに、とか言っているとLINGOのメンバーアランがニコニコやってきました。お葬式の列があって車が渋滞してたそう。一転二転三転四転の幕開けでしたが中学生は一生懸命やっていました。お母さんが日本人という男生徒がいて彼が通訳をしてくれたため細かいところまで伝わり、予想以上に濃い時間になりました。マイムは丁寧さ、ということがポイントになっていますが、子どもにはそれが伝わらないかあるいは出来ないのではないかと思っていましたが、そこの部分に注意して取り組んでいました。発表でも自分たちでアレンジを加えなかなかの出来でした。

最後の質疑応答の時間、一人の女生徒がやった感想を「これをみて観客はおもしろいのですか?」と無邪気な顔で質問してきました。日常生活において舞台表現が「で、何?」というものであることは間違いありません。また、我々の舞台作品も観たことがなくてたった40分体験したところで、意義が見出せないのも当然です。特に学校の授業という枠の中で、自主的に申し込んだWSでもないわけですし。アランが「みんながどうかはわからないが、僕はそう思う」と真摯に答えていたことが印象に残りました。私もあなたの記憶のどこかにひっかかれたら幸いです。こういう質問しちゃうところがアメリカの良い所であり怖いところでもあるわけですが。


やってきました!シアトルです。いよいよアメリカツアーもここが最終地。ここまでツアーマネージャーとして同行してくれていた宮井さんとはピッバーグの空港でお別れをして、飛行機にのること5時間!知ってます?アメリカは国内にも時差があるんですね。ピッバーグとシアトルでは、3時間・・・。ほんと、広すぎて何がなんだか訳がわかりません。おっと、ご挨拶が遅くれました。おのでらんです。

とうとう、最後の公演の日となりました。ここまで色々とありましたが、泣いても笑ってもこれでおしまいです。ここまで、よい印象で来ているだけにここシアトルでこけるわけにはいきません。街の中には大きなイチローの看板があったりと日本人びいきな感じがそこはかとなく伝わってくるこの街で有終の美を飾りたいところ・・・。そんな中、実はとてつもない敵と遭遇しています。それは、「リンゴダンスシアター」というシアトル在住ののダンスカンパニーです。今回シアトルでは、今までの場所とは違い、演目が「スープ」だけになるのと引き換えにこのカンパニーと一緒に公演をするということになっています。このカンパニー。すごいですよ!自称ダンス嫌いのすがぽんすらも「すごいっすねぇ!」と感嘆の声をあげるほど、とにかく身体能力の高さは目を見張るものがあります。メンバーは、主宰者のケイティーを先頭に女性4人、男性2人の構成で、マイムを教えている人やらカポエラをやっている人、カナダのカンパニー「シルクドソレイユ」で活動する人もいるということで、これまでフェスティバル等で戦ってきた中でも最強と言ってよいカンパニーなのです。作品もセリフを使っているので細かいところは分かりませんが、「コミュニケーション」をテーマにして創っており、すっきりと観やすくなっています。昨日、ゲネプロをみた段階で、「強敵だ・・・」と一同ちょっとテンションが下がっています。よくよく考えてみると、こういった形で外国のカンパニーと公演を行うのは初めてなのですね。とにかく自滅しない事だけを祈り、舞台での稽古を終らせて、開演を待ちます。開演は20時。といってもここシアトルは、日が長く開演時間になってもまだ明るいといった状態なので、なんだか調子が狂いそうです。いよいよ、本番!先行はリンゴです。舞台がはじまるや否や楽屋にあるモニターからは、観客の笑い声が聞こえてきます。どうやら、セリフを言っているところがうけている様。笑い声は、どんどん増えてきます。身体能力だけではなく、笑いも取るのか・・・。シアトルで公演のコーディネイトをしてくれている大澤さんによるとこちらのお客さんの反応は日本人に近いとのことだったので、なかなか笑いを取るのは難しいとおもっていたのに。やられました!水と油大ピンチ!どうなるか・・・。

ひときわ大きな拍手と歓声があがり、リンゴの舞台終了!楽屋にもどってくる面々は、満足な表情です。これで反応が悪ければ・・・。いやいやそんなことを考えてはいけません!平常心平常心。「グッドラック!」というリンゴメンバーの声を背に水と油の出番です。「スープ」といえば、じゅんじゅん・ももこんのダンスからスタート!程よい緊張の後から徐々にお客の反応も良くなり、かなり満足のいく出来で終了!勝ち負けは比較が難しいのでおいておくとしても、決して引けを取らない反応だったようで、公演終了後のレセプションでも多くのお客さんが「良かった!」といってくれました。なんとか負けを免れたものの、明日はどうなるか?とにかく世界は広いと実感したシアトルでした。また明日も頑張りマース。


「水と油アメリカツアー2004は平成16年度日本万国博覧会記念基金及び新世紀アーツプランの助成により実施されました」

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