水と油 in Europe 中期
イタリア / ローマ
エジプト / カイロ
フランス / パリ
10月16日
いや〜、ついに始まってしまいました。怒涛のローマ・カイロ・パリ三都市公演、略してロカパツアー!!今回もきっちりとレポートさせて頂きます。今日の進行役は、すでにもう御馴染み、イタリアが大好きなわたくしすがぽんでございます。執筆意欲満々でございます。
今回は今までの水と油単独公演とは違い、大人数での移動と相成りました。どこが今までと違うかと言いますと、3組合同のショーケース公演なんです。それでもって、水ちゃん油ちゃん以外はどんなダンスチームなのかと言いますと、一組は以前東京のセッションハウスでの『見えない男』初演でご一緒させて頂いた、<Project Fukurow>の皆さん、そして、今回はじめてご一緒させて頂く白井剛さん率いる<発条ト>の皆さんです。
このツアーは我が水ちゃん油ちゃんのスーパー制作つじっちょがお世話になっている制作会社<ハイウッド>が仕切ってくれているため非常にすんなりと飛行機乗り換え地点であるアムステルダムに到着。乗り換え時間まで自由時間にななったので、コーヒーで飲もうと言うことになりました。コーヒーを飲む為にはそうお金が必要です。しか〜し、誰もオランダのお金なんて持っているわけもなく、単位すらも分からないありさま。そんな状況の中、口を開いたのはやっぱりじゅんじゅんでした。「確か、オランダの貨幣単位はムサカだよ。」みんなじゅんじゅんの豆知識に驚嘆し、うっとりとした目でじゅんじゅんを見つめています。そんな中、換金をしに行っていたももこんが帰って来て一言、「とりあえず、50ギルダー替えてきたよ。」ん!?ギルダー?新しい言葉にみんな困惑したご様子。そうオランダの貨幣単位はムサカではなく、ギルダーだったのです。じゅんじゅん早速やってくれました。そういえば確かムサカってどこかの国の食べ物の名称だったような…。みんな笑いながら喫茶店へ。ちなみに空港でのレートは、100円=約2ギルダーでした。
自由時間も終わり集合場所に着くとProject Fukurowの丸山さんが、「この空港は円が通用してよかった。」と多めに換金してしまった水ちゃん油ちゃんの事を知ってか知らずか残酷な一言。「またオランダに来てギルダーを使う事が出来るかわからないから。」と、買い物にでかけたももこんを探しに行くとその手にはチーズおろし機が…。なんとかチーズおろし機を諦めてもらい、いざローマへ!
ローマでは寒くてコートが必要と言われていたのに反して、現地の皆さんは半袖でお出迎え、みんな厚着をしてきた+厚着をたくさん持ってきたようで、ロカパツアーは苦笑いからのスタートとなりました。さてさてどうなることやら…。
10月18日
こんにちは、じゅんじゅんです。ただいまローマです。水ちゃん油ちゃん今年2回目のヨーロッパツアーはイタリア、ローマで幕開けです。今回は3カンパニー合同のツアーで30分づつのショウケースです。
知ってる人もいるかと思いますが、他の2つは『発条ト』と『プロジェクトふくろう』です。どっちも今上り調子のカンパニーで水ちゃん油ちゃんも負けずにがんばりたい所です。昨日劇場入りして仕込みが始まり、今日は明かり作りと通しリハーサルの後いよいよ本番です。朝一番の時間をもらい早速シーン毎の照明を決定していきます。今度はこの間のエディンバラのようなことが無いようにがっちり打ち合わせも済ませ、照明の森島さんと細かい部分を決めていきました。しかしなんせ機材が十分ではない上に、3カンパニー分の照明があるので、苦しい所ですがそこは水ちゃん油ちゃん、これよりきつい現場は何度となくくぐってきた!そんな中がんばってきた!ということでめげずに作業に励みます。
しかぁし!1カンパニーの持ち時間は2時間ということだったのですが、大幅にオーバーし、なんと3時間近くもかかってしまい、午前中は僕らの作業だけで終わってしまいました。「申し訳ございません、、、。」(高嶋政伸風に)他のカンパニーの人に速攻であやまり倒しました。僕らもエディンバラの時に前のカンパニーが時間押した時いらいらしたもんな〜。特に俺なんてわざわざ英語で文句言ってたもんな〜。申し訳ない気持ちでいっぱいです。幸い「発条ト」の明かり作りが昨日終わっていたので、時間的には余裕があり何とかなりましたが、次のカイロではこんな事が無い様にしようと固く心に誓いました。
そんなこんなで準備も進み通しリハーサルも終えたのですがこれが激ヤバ!この間の高知公演の余韻もあり、「ま、なんとかなるだろ。」と軽くたかをくくっていたのですが、「見えない男」のショートバージョンと言う事もありいつもと変わった所はかみ合わずタイミングはズレズレといった感じで、なんとかなりませんでした!「や゛ば い゛、、、。」みんなリハーサルを終えたとき、「キミの偏差値じゃあこの志望校はムリだよ。」と言われた中学生のようになってしまい、うっすらかいた汗も一気に冷や汗になりました。急いで細かい点を再チェックし直し、作品を劇場になじませる為にタイミングや立ち位置などを変更していきます。ようやく作業を終え楽屋に。しかし基本的に不安は消えずなんとなく嫌なムードがただよっています。そうなると他のカンパニーの人たちが自信ありげに見えてきて、ますます悪循環、、、、。しかしこんな時こそがんばらねば!と思いみんなで気合を入れ直しローマの観客に立ち向かう事にしました。9時になり開演しまずは最初の発条トが無事に終わり盛大な拍手でカーテンコールを終えました。幕が閉まり僕らの舞台転換です。準備を追えスタッフも集めてみんなで「エイエイオー」を小さな声でやって気合を高めます。位置について幕が上がるのを待ち(なんかこの表現かっこいいなあ。)いざ本番。
気持ち探り気味だったローマの観客もだんだんほぐれてきて全体的に熱心に観ていると言った印象でした。肝心の作品も本番が一番良い出来で後半はいつものテンションが見えてきました。カーテンコールに出て行くと温かい拍手で迎えてくれます。そんでうれしい事に4回もアンコールに呼ばれてしまいました。イヤー良かった!スタッフとも握手をしてまずは一戦終了!次のフクロウさんも終わってみんなで記念写真をとりローマでの公演を終えました。みんなでローマの街に出て軽く打ち上げをしたのですが街に出たのがなんと深夜の2時!!なんとなくこわごわみんなでビールを飲みました。
つぎはエジプト、カイロです。ローマはそんなに寒くなかったけどカイロは暑いんだろうか?と気になりますが、待ってろカイロ!エジプト初上陸です。
10月22日
今日はいよいよカイロ公演本番。気合を入れていきたいところです。しかしなんと言っても準備の時間がない!今日も明かり作りとリハーサルの時間が各カンパニー2時間づつなのです。そんでここの劇場はオペラハウスだけあって天井が高い!基本的にローマと同じ照明プランだったのですが、天井まで8〜9mもありタッパが高いだけあって全然印象が違います。昔雑居ビルの中にあった池袋小劇場というところを借りた時、天井が普通のビルの事務所ぐらいしかなく、みんなで「天井の高い劇場を借りたいね。」と言っていたことを思い出し「高いっていってもな〜。」とちょっと途方にくれました。しかし当日着くはずだった舞台装置が昨日の夜に届き昨日のうちに組み立てておいたので何とかなるかな。まさかカイロまでドアを運ぶ事になるとは思ってもみませんでした。
午後から僕等の明かり作りです。ローマでのデータをもとに作っていきますが何せグローブ座より広い所です。日本でいうと青山劇場ぐらいあるのかな、作業は遅々として進まず焦りました。これは何も劇場のせいだけではなく今回の作品の照明の変化が多くその分時間がかかるのです。2時間近くかかってようやく照明が終わり急いでリハーサルです。なんかローマとは感じも違い劇場になじむまでには行きませんでした。何とかせねば、、、、。カイロの開演は8時。全てのリハーサルが終わった6時過ぎにもう一度照明の変更をしてもらって準備は終了。万全ではありませんが仕方ない、がんばろう。しかしこの劇場はスタッフがとても多い!設備がとにかくでかく、楽屋の方にリハーサル室があるのは勿論、裏にスタッフ専用のカフェが2つもあります。そんでいつも楽屋の前に何人かの人が座っているのです。みんなしゃべってるだけにしか見えないんだけど、どういう人なんだろう?とみんなで話題になりました。
そうこうしているうちに本番です。最初の発条トが終わり、僕らの出番になりました。位置につき幕が上がります。そして音楽が鳴り始まりました。
しかしここで日本で応援してくれている皆さんにお詫びしなければならない事があります!僕チンじゅんじゅんは今回ミス連発でした。特に集中できていなかったわけではないのですが、なんか大事な所で位置を間違えたり失敗したりと言った具合でカッコワルカッタ!こんなに失敗したのは久々です。それが作品にもなんとなく影響を及ぼして、なんとなく空気をつかみきれないまま終わったような感じでした。カーテンコールも出て行くのがつらかった。勿論カイロの観客は暖かい拍手をくれましたが悔いの残る出来でした。楽屋に引き上げてもグッタリ。しばらく楽屋でうだうだ言っていましたが仕方がない、次のパリで汚名挽回ということで元気を出して荷物のパッキングにかかりました。待ってろよ!パリ!しかし明日は1日だけの観光日!ピラミッドだ。中に入ってお祈りすればピラミッドパワーの効果があるんでしょうか?パリでの成功を祈ってきま〜す。
10月23日
みなさん、おこんにちは!すがぽんです。今日はカイロ公演を終え、一同ホッとしたのもつかの間なんと、今回始まって以来のOFFマル一日を使って、朝から晩までぎっちりとカイロをまわる強行観光ツアーとあいなりました。
まず、AM8:40ロビー集合!みんな若干眠い眼で出発、ガイドには過去宮沢りえさんの通訳をした事もあるオマールさんという現地のエジプシャン、親父ギャグをすらたくみに使い分ける実力派。彼の滑らかな日本語に聞きほれながらバスに揺られ一つ目の目的地に向かいました。エジプトと言えばそう、ピラミットでしょう!ギザにはクフ王・カウラー王・メンカウラー王のめちゃくちゃでっかいピラミットがみっつあり中でもクフ王のピラミットが一番大きく、僕らは総勢20人強居るというのに内部見学は一日に300人しか出来ないということで大急ぎで入り口に向かいました。入り口にはすでに何十人もの人だかりが出来ていたので『ダメだ!』と思いきや、あっさり♪大きくNG!(NG〜)小さくOK!(OK〜)で、小泉今日子さんことキョンキョンもビックリ!!入れてラッキーでございました。それにしても、大胆に定員オーバーしていたよう気が…。ピラミットの外観は思っていたより大きくて石ひとつをとっても150cm位あり「古代の人たちはどうやって建てた?」と付け焼きの古代ロマンに浸ってみたりみなかったり。とにかくスケールの大きさに万歳でした。ピラミッドの中はものすごく急で低い窮屈な坂になっていて思ったより簡素で、奥には空の石棺しかなく拍子抜けな感じがしました。
スフィンクスのすぐ近くで初めてラクダに乗っちゃいました。ラクダって、立ち上がる時は振り落とされそうで怖いけど乗ると2m50cm位の高さになって気持ちいいのなんの。東京で稽古に向かう移動手段にしたいな〜。
お次は、博物館。館内に入る前に2回もセキュリティチェックをうけさらにビデオやカメラは別料金払わないと持ち込めないというなんともエジプトらしい規則に従い、やっとの思いで館内へ潜入。入るなり大きな石像がごろごろ。しかも有名なものばかり。こっこっこれは…、心を弾ませガイドさんの説明を夢中で聞いて回りました。そして、ついにツタンカーメンの黄金のマスクとご対面!!♪キンキラキンのキンキラキンのキンキラキンのキンでした。す、す、すごすぎるよ!王様って言ったってあんた!若いでしょ?
興奮さめやまぬうちにミーラ室へ。ここも別料金でそこの係員が『久々に今日は大量だぜ!』みたいな顔でうれしそうに接客してくれたのが印象的でした。ミーラは髪の毛がかなり残っているものや爪が伸びたものもあって、かなり人間でした。これを薬として飲んでいた人がいるというんだから驚きじゃあ〜りませんか。この後、館内で自由時間だったのですが、もうこの頃にはすでにお腹一杯になっていて、石像がありがたいものなんだか歴史的に重要なものなのかなんなのか、訳がわからなくなってしまっていました。しかも重要なものというわりにはガードが甘く触れたりするし。(本当は触ってはいけないのだけれども。)それらの石像はピラミットの中や地下にあって、発見されたその場所にあるから『おお!!』と思うわけで、博物館に惜しげもなく無造作に置かれてしまうとかえってありがたみがわからなくなってしまうんだと感じました。出し惜しみも時には大切ですね。
夜の食事は、ナイル川を優雅に下りつつのナイトクルージング。なんてゴージャスなんでしょう!食事の際のショータイムでは、ベリーダンスのおねえさんに舞台に上げられたおのでらん。こういう時のおのでらんは実にたのもしく、他のお客さんも、もうおのでらんにくぎ付け!一気に場の空気をもって行ってしまいました。さすがです。
今日は、そんなこんなの超・超ハードな実に充実した観光三昧の一日でした。カイロの皆さん色々と案内してくださって、ありがとうございました。それにしてもみんな今日は遊び過ぎて、もうくたくた、明日からのパリに影響が出なければ良いのですが…。
10月24日
こんにちは。ももこんです。今日はカイロを出発しパリに行きます。一時は開催が危ぶまれたカイロ公演ですが無事終了。しかしなんとなくイヤな予感。カイロ→パリはエジプト航空です。
まず、機内にハエが。こんな上空に何故?前日のナイル川ほとりでの昼食時、ハエが絶え間なく、群がってきたことを思い出します。日焼けよけに顔に手をかざしたいところなのに両手ともハエを払うのにとられて紫外線浴びっぱなし…。ニコリともしないスチュワーデスが食事を配りにやってきました。機内食ワゴンの扉は動くたび開いたり閉まったり。うー、気になる。機嫌の悪いスチュワーデスの目を盗みそっと扉を閉めると閉まらない!ハエっちは食事と一緒に搭乗だったのね…。
そうこうするうちに乱気流に巻き込まれ激しい揺れが!「まずい、まずい。」と連呼する隣席の音響伊東さん。伊東さんはとっても飛行機が苦手なのです。暫くすると揺れも収まり一安心。と突如ガガーンという大音響そして前方から「キャー」という女性の悲鳴。機内は一瞬にして緊迫ムードです。外を見るとまだ地上は見えません。みんなの心に芽生える不安。「もじかして、もう足出しちゃった?」足は地上すれすれのところで出すのでは?その後暫くして無事着陸。機内に思わず拍手がおきました。伊東さんは何もなかったかのように「ここにいる全ての人と握手したい。そして機長に伝えたい。この旅一番のナイスフライトだったと!」
ホテルに着き荷物の整理をしていると渡久地君登場。エディンバラで別れて以来です。パリ公演上手くいきそうな気がしてきました。 その後自腹でリドへ。中は映画セットのように豪華。皆さん正装していて、こういう遊びってあるのですね。無駄に胸を出しまくっていた綺麗なお姉さんも大変良かったのですが私としてはジャグリング親子が一回も失敗しなかったことに感激。「一回ミスしてしまう」と「完璧」の間には「初心者」と「一回ミス」程の差があるんだろうな。その後ホテル傍のブラッセリーへ。メニューを見ても何だか全く分からないまま皆注文。一か八かで唯一ふくろうさんの勝利となりました。高樹さんもノーマルなステーキを引き当てていましたがその他の人は完敗。須賀君を信頼して同じものを注文した根木山さんに至っては惨敗。最初臭わないよう我慢していた二人でしたが半分でギブアップ。しきりに周りに勧めていました。結局白井君が何故か平気で食べていました。ではでは。
10月26日
こんにちは。じゅんじゅんです。
「ロカパ」ツアーも最後のパリを残すのみとなりました。
はたしてカイロでの汚名をばん回できるのか?
昨日の夕方無事パリについてホテルにチェックインしていたら、なんだか聞いたような声で「高橋さ〜ん」と呼ばれました。振り帰ってみるとなんと渡久地君が!!!何日か前にパリに着いていたらしいのですが、まさかホテルまでやってくるとは、、、。いきなり水ちゃん油ちゃん一同大盛り上がりで、他のみんなもなんだなんだ?とガヤガヤし始めました。そこでみんなに渡久地君を紹介。「水と油のヨーロッパ支部広報部長の渡久地君です!」既にホームページを見て渡久地君を知っている人も何人かいて、いきなりマブダチモード!ホテルのフロントとのやりとりも早速手伝ったりして、もう既にツアーメンバーのようです。あんた、その垣根のなさ具合、外人だよ、、、。
その夜は高樹さんのオススメで「LIDO」のショーを見に行くことになりました。(高樹さんは「高橋君が行きたがってるから。」と言っていた、、、。)もちろん渡久地君も参加!シャンゼリゼ通りにあるリドまでメトロでいき、希望者みんなで御観覧。リドっていうのはフランスで有名なキャバレーで、豪華な雰囲気とレヴューが楽しめるところです。みんなちょっとHな気持ちに胸を膨らませつつも、「まっ、一応舞台人として観ておかないとねっ。」なんて冷静さをよそおいつつ、しかしどことなくうれしそうにいそいそと足を運んだのです。水ちゃん油ちゃんチームはもちろん全員参戦!こんな機会でもなければそんなもの観れん!ということで見る前から「リド万歳!」なんて言い出しかねない勢いでついていったのでした。肝心のレヴューはしょっぱなからオッパイの連続!しかし!豪華な衣装&ものすげー大仕掛けの舞台で(ディズニーランドのショーも顔負けで、なんとスケートリンクもでてきたりする!)オッパイなんてどうでも良くなってきました。しかし出てる人はみんなきれいで、マネキンみたいだったなあ。これなら子供でも楽しめるなあ、と思いつつパリの初日はふけていきました。(なんじゃそりゃ?)
さて、次の日は劇場入りです。オレだけ一足先に朝一で劇場入りし早速仕込みなんですが、びっくりしたのはここのスタッフの優秀さ。出発前に頼んでおいた壁&衝立てが完璧にでき上がっています。そのうえそれの調整をするといってプランを立ててくれていたのですがそれが完璧!僕らの希望したものがほぼ100%でき上がっていました。照明に関しても機材的には十分に揃っています。勝つための条件は揃ってきました。ということは、ここで失敗すると100%自分らのせい、、、?あれっ、なんかやばくない、、、?ということで逆にプレッシャーも大きく、かなりナーバスに。そんでもってパリは舞台芸術が盛んでいろいろ見慣れて目の肥えた観客が多くかなりシビアな反応とのこと。いや〜ん水ちゃん油ちゃんピンチ? っていうか勝てんの?パリの観客相手に、、、?カイロでの失敗もあり、オレはかなりマイナス思考の人になってしまい、どんよりした脳内麻薬出っぱなしで自分で自分を嫌いになっていきました。
そこに、ラジオのインタヴューを終えた小野寺君がやってきてうなだれながら一言「オレら相手にされなかったよ、、。」なんで?聞いてみると、インタヴューの主旨というかテーマが『テクノロジーと肉体表現の融合』ということだったらしく、からくり人形を使っているふくろうさんと、ビデオ映像を取り入れている発条トの白井君に質問が集中して、人力100%の水ちゃん油ちゃんは全然インタヴューされなかったらしいのです。な、なんだとぅ!水ちゃん油ちゃん四面楚歌状態。しかあし!そのことを聞いた時オレはむしろ逆にやる気がわいてきました。ぢぐじょう、ひっくり返してやる!まあどこでも最初は水ちゃん油ちゃんは胡散臭がられて相手にされなかったもんな、それが逆にやる気になって「負けるかああああ。」と頑張ってきたのだった。期待してないのもいいスパイスじゃあ!まってろオマエたちぃ!とばかりにがぜんやる気が出てきたのでした。そんなこんなで一日目が終わり、本番当日の日になりました。
昨夜から続いていた照明作りも終わり通しリハーサルに入りましたが、気張っては見たものの、なかなか良い空気が出ません。連日の仕込み&本番&移動の疲れも出てきているのでしょうか。しかしそんなことを言っていてはツアーなんて出来ません。もっと大変な時だってあったんだし。取りあえずリハーサル室で細かいチェックをした後、気分をかえようと、遅いランチを取りに近くの中華にいきました。ケースの中にあるおいしそうなチャーハン等を選んで4人で椅子に座りちょっとミーティングです。みんななんとなくナーバスになっているのを自覚していましたが、「とにかくここまで来たんだし、元気良く楽しんでやろう。」ということで意見が一致。今夜の本番に向けみんなでジュースで乾杯し、ちょっと落ちついてきたのでした。そうなるとご飯のおいしいこと!思わず焼きそばもお代わりし、元気も出てきて「今日はやったるで、とにかく!」という空気になってきました。
いよいよ会場の時間がやってきて開演の時間が近付きました。みるみるうちに客席は埋まっていき、あっという間に満席になりました。そんで通路にも観客が溢れています。開演は8時30分。僕らの出番は9時15分過ぎになります。最初の発条トが始まり、僕らはモニターでそれを見ながら着替えに入りました。まさかこんなにお客さんが入るとは、、。こうなってくるとある意味ヤケクソも手伝って気持ちが穏やかになっていきます。感情が一回転してしまったのでしょうか?まあ失敗しても死にゃあしないんだし、ド〜んといってやろうじゃないの!舞台脇に行くと発条トが終わり暖かい拍手をもらっています。幕が閉まり僕らは舞台にあがって準備をしました。いつものようにスタッフも呼んで小さな声でエイエイオーです。そんで舞台上に僕ら4人だけになった時もう一度集まって「元気に楽しくやろう。」とガッツポーズです。位置につくとほどなくして幕が上がりました。パリのお客さんはこんな演出にも慣れているせいか話声は止みません。しかし曲がかかり出すとさーっと静かになっていきました。最初のうちは様子を伺っているようだった観客もしだいに集中してみているのがこちらにも伝わってきます。曲と動きが突然止まる箇所などは息を飲むような空気が感じられました。もちろんユーモラスなシーンではきっちりと笑いをいただき、後はたたみかけるだけです!エンディングを迎え舞台が闇につつまれました。果たして、、、、。
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カーテンコールの明りがつき舞台に出ていくと、なんと!すごい勢いの拍手です!やりました!カーテンコールには結局4回も呼ばれお客さんも大満足みたいです!水ちゃん油ちゃんやった!パリの観客相手に往復ビンタ級の衝撃!しかもグーで!僕もやっとカイロの雪辱をはらすことが出来ました。イヤー大変だった水ちゃん油ちゃんよくやった。ほんとに一時はどうなるかと思ったんじゃよ〜(涙)。ここで負けたらかなり辛いツアーになってしまうトコじゃったよ。裏に帰るとスタッフも喜んでくれていて改めて嬉しさがこみ上げてきたんじゃよ。ほんとにがんばった!!!その後のレセプションでは色々な人が話し掛けてきてみな良い感想をくれました!今回のツアーはおおむね好評で3団体とも興味深く受け止められているようです。明日もこの調子でパリの観客に「グーでビンタ」じゃよ〜!
その夜ホテルに帰って久しぶりの渡久地君と四方山話に花を咲かせました。なんか彼のクラシックの話が興味深く、現代のクラシック演奏の傾向について聞いたり。「最近は『解釈』ではなく『解析』」なんてところにも話はおよび、いろいろ刺激になりました。渡久地君ありがとう!といいつつパリでの初演の夜はふけていったのでした!おしまい!
10月27日
いよいよこのツアーも公演最終日なのです。
たった2週間だと思っていたのに、ものすごい時間がたった気がするのは自分だけでしょうか?ローマのことが、去年のことのように感じられます。
あっ、おのでらんです。いやぁ、とうとうやってきましたね。最終日!ここでこけてしまうと全体的にブルーになってしまうので気を引き締めたいところですな。ここのところ水と油は、最終日に「吉」な状態なので、とにかく期待したいところです。ここまで、このツアーでは各都市で1公演のみだったのですが、最後のパリは2公演あるのです。なので、今日は準備も完璧で劇場に入るのもかなりごゆっくりです。メンバーもそれぞれ観光に行ったり、買い物をしたりとリラックス状態。私おのでらんは、パリ在住の方とお食事会でした。なんと、日本食をごちそうになってしまって…。ごちそうさまでした。しかし、パリの焼き鳥はチーズを巻いていたりするので驚きです。久しぶりの緑茶などすすりながら、プチ優雅な気分で劇場に行き、さっき焼き鳥に巻かれていたチーズのようにまったりとしていると、舞台を映しているモニターに不思議な人が映っています。(今回はどの劇場も舞台をモニターで見れるようになっているのです。)その人は発条トの白井君の衣装を着ているのですが、どう見てもあのスマートな白井君ではありません。慌ててよく見てみると、すっ、すがぽーん!白井君の衣装を着て、壊れたフランケンシュタインのように舞台上を走り回っています。悔しいですが、思わず吹き出しちゃいました。「すがちゃん!ズボンがはちきれてるよぉ!」と突っ込んでも届くはずのない突込みをモニターに向かって騒いでいるうちに、不覚にも眠り込んでしまいました。
目がさめると、開演の時間がせまっています。モニターには、すがぽんの姿はなく劇場の方が最後の掃除をしています。あれっ、私おのでらんは、大丈夫なんでしょうか?昨日はゲネプロの失敗であわてふためいてがむしゃらに練習していたのに、今日はろくに確認もせず、本番間近になっても、昨日のような気合いわいてきません。しかも、体はグッタリしています。朝、あれだけ気を引き締めようと言っていたのに。もっ、もしかしたら今日の舞台は最悪の事態が…と不安感が一気に高まり、皆もそうだったら(特にすがぽん!)…と心配になって楽屋に行ってみると、気合い十分のメンバーたちです。心配したすがぽんは「今日は舞台でかなり体を動かしたので調子いいっす。」といつも以上にキリッとした顔をしているし、じゅんじゅん、ももこんは独自の集中法を終え、お互いに細かい確認をしています。「しっ、しまったぁー!一人だけまったりしてしまったー」あわてて気合いを入れようとしても全く力がわいてきません。何をしても空回り、意味なく綱を引いたり、壁をやってみたり…。じゅんじゅんに「リラックスしすぎたんですけど…。大丈夫ですかねぇ?」と聞くのが精一杯で…(間)…。気がつくと、今までで一番まったり・ぐったりとした状態のまま、本番が始まってしまいました。
始まってみると…、どうしたことでしょう?いつもより集中しているような…。そして、終わってみると、今回最大の拍手です。「ブラボー」の声すら聞こえます。カーテンコールも数は忘れましたが、何度も出させてもらっちゃいました。劇場のテクニカルの責任者のべルナールも喜んでくれ、「笛吹き小僧」ことと渡久地君も涙目です。あのリラックス?が良かったんでしょうか?改めて、舞台の不思議さを感じちゃいました。力まず入るということも大切なんですね。(ホントは他のメンバーが良かったのでしょうけど…。)とにかく、良かった、良かった。(ふぅー、危なかった!)このツアーは、いつものツアーと違って至れり尽くせりだったので逆に調整の難しさが…。以後気をつけます!こんな事が無い様に。本当に反省しました!
公演終了後、撤収を終わらせて、打ち上げをしました。今回は本当に劇場の方がどの国でも親切で…(涙)いろいろな方にお世話になってしまいました。そして、こんな貴重な体験をさせてもらったハイウッドの高樹さん。根木山さん。ずっと働きっぱなしだった、森島さん(照明)、伊東さん(音響)、原口さん(舞監)、本当にありがとうございました。発条ト、プロジェクトフクロウの皆さんもホントに楽しかったです。これからもがんばっていきましょう。明日は日本に戻ります。おつかれさんでしたぁ。