2000年 ヨーロッパ・ツアー
水と油 in Edinburgh

Edinburgh Festival Fringe 参加公演

Cellophane Singular
(邦題 「見えない男」

2000年8月4日〜2000年8月13日(全25回)

ROMAN EAGLE THEATER


"Total Theatre Award 2000" ノミネート

(ダンス・フィジカル・シアター400団体中の8団体)


英新聞 "The Herald" 2000年8月7日

マイム
Cellophan Singular, Roman Eagle Lodge
Mary Brennan

「水と油」この団体名の由来は、彼らの演技の主な内容であるマイム、音楽、ダンス、強烈なイマジネーションが交わらないことを暗示しているのだろうか。

いや、そうでもないようだ。この非常に熟達された4人組(男3人、女1人)は、次から次へと奇怪なエピソードを、時に笑いや混乱を織り交ぜながら、闇の部分や神秘的な雰囲気を醸し出しつつ繋ぎ合わせている。

ある男が自分の読んでいる本に吸い込まれてしまうことからこの物語は始まる。彼は黒い帽子とコートを着た不可解な人物と一緒になる。チャップリンを想わせるが、不気味な匂いに好奇心をそそられる。そして歪んだ状態のまま、素敵な整列が続く。

物事がまっすぐ進むことはまずない。

女ロボットとの静かなチェス。彼は勝てないばかりか煙草さえ吸わせてもらえない。

1人で食事をしていると食べ物がじっとしていないことに気付く。ロマンティックな告白は、全てを食い尽くす本性を露にした。彼女は指輪まで食べてしまうのだ!。

合間に少し不気味なダンスをする。アンサンブルダンスは、あたかもまだ見ぬ作者に次の奇怪な話を思いつかせるのを待っているかのようだ。

すべての演技は発明とユーモア、新しい驚きに満ちあふれていて、格好良く息をのむ正確さも、安易に努力しないで行われているかのように見える。

公演は13日まで。一見の価値あり。



8月3日

ハロー、ハロー、ハロ〜!!こちらエジンバラのすがぽんです。

アビニヨンからエジンバラまでの経緯を簡単に説明すると、まず、アビニヨンからTGVで、4時間、パリについてから飛行機で1時間、そして空港からロンドンまでundergroundで、おっと失礼、地下鉄で1時間半、そして、さらにさらにイギリス製新幹線で4時間、という非常に長い旅をしてまいりました。途中の新幹線で、イギリスに来たらやっぱり紅茶だよねー、と紅茶を飲んでみると、お湯だった…。

えー、6時半にアビニヨンの家を出て、エジンバラに着くと20時45分。家に着くと大家さんに9時までしかスーパーが開いてないから早く買い物に行ってきなさい、と言われ、意気込んでスーパーに出かけると小汚い雑貨屋で、店のオーナーは無愛想なインド人のおやじだった。フランスに比べ、物は全てまずそうで、脱力して買い物を終え、食事を作って食べました。食卓の中心はフランスから持ってきたチーズ。そして、失敗の無いパスタとサラダ。いやー、イギリスは気温も食卓も寒いねぇー。寝よっ。

いやー、イギリス一日目の朝です。高橋さんに「もう8時過ぎてるよっ!!」と起こされ、みんなむにゃむにゃ起きて来ると、高橋さんの時計には時差があり、本当は7時だった…。

そんなことは気にもせず、一人で朝食の買出しに行ってきてくれました。買ってきた物は、ちぎると粉の出るぽそぽそのパンと、見るからに丸焦げのパンで、朝の食欲をいっそう湧かせてくれました。だがしかし、食べてみると、予想外にうまく、一安心!やき立てだったらもっと美味しいのにね、と、笑顔で一日がスタートしました。

劇場の視察を終え、買出し班と、荷物を取りに帰る班に分かれ、タクシーの中で、ことこちゃんが「いやーん、今日は全て順調に行って、嬉しいな〜!!」と言って、買出しのため途中で降りたその3分後、悲劇は起きました。我々荷物取りに帰る班も急いで家に帰り、ふと家の前に立つと、藤田さんが、「あれ??かぎは??」「いや、俺持ってない」「僕もですよ」 しまったー!!!!!買出し班が2つしかない鍵を、両方もっていっていたのです!前に住んでいる大家さんも、鍵を多めに造るため出かけていておらず、タクシーを探しつつ、買出しの場所に向かうことになりました。しかし、どうでしょう。1時間後に劇場に戻らなければならず、買い出し班も急いでいたので、「早く行かなければ!」そこで、韋駄天すがちゃん、走り出しました。ホームセンターまでは、微妙な上り坂で、すがちゃんは何度も萎えそうになりました。最初に劇場に向かった時に見た山が、すがちゃんを再度奮い立たせ、休むことなく、無事鍵をゲットすることが出来ました。コングラッチュレイション、すがちゃん!

ここで、おのでらん登場です!

雨が降るんですよ、エジンバラは! しかも豪雨です。須賀君と「ここのレートは高いね」などと、銀行で無駄口を聞いている隙に、外は嵐のような雨でした。全く雨の降らないアビニヨンにいたので、久しぶりの雨に二人とも歓喜! 外に出てみるとびっくり! 傘など持っていません。時間は約束の5分前になっています。このままでは、怒られてしまうので、泣きながらダッシュ! やっと劇場に着いて、時計(目覚まし)を見ると、オンタイム! 見てみると、買出し班はまだ来ていない様子。「タクシーはUターンしてもいいんですよ」というすがちゃんのたわごともつかの間、買出し班が揃い、雨もやみ、打ち合わせ終了。早速、買出し班の買ってきた材料と、でく3人の持って行った材料で、大道具を作ることになりました。

「早くしないと日が暮れちゃうよ」という言葉に足早になる4人(ことこちゃんは別作業)。雨の心配と、寒さのため、ウインド・ブレーカーを買うことにしました。見つけたのはこざっぱりとした古着屋さん。みんなそれぞれ自分の好きなウインド・ブレーカーを探しています。「無いんだよねー、サイズが…」わたくしおのでらんは、唯一見つけたSのちょっと柔らかめの生地のウインド・ブレーカー??を買ってしまいました。4人ともちょっと気取りながら大道具の現場へと向かいます。

大道具の現場では、さっきかったばかりのウインド・ブレーカーたちが投げ捨てられています。作業中汚してはいけないということもあり、脱いだのですが、あまりに損祭に扱われているので、(雨が降ったら大変だぞ、お前ら)と、僕は心の中で思っていました。

「やったー、ペンキが塗れたー!」大騒ぎではしゃいでいると、また豪雨。作業場には屋根が無く、みるみるうちに床がペンキの色に変わっていきます。

ことこちゃんとの約束の時間がやってきました。雨の中を劇場に向かいます。気付くと僕のウインドブレーカーは、通常の2倍の重さに変わっています。幾分肌にぴったりとフィットし、寒さは尋常ではない状態です。「これはウインド・ブレーカーじゃない」気付いたのはその時です。

まぁ、そんなこんなの一日ですが、ビックニュースが一つ! 新しい家でもインターネット出来ます!実は今こうして書いているのも、その家の回線を使ってです。まとまりがなくなりましたが、またどんどん更新していく予定です。楽しみに待っていてね。


8月5日

エジンバラからこんばんは。藤田琴子です。8月5日、土曜日。公演2日目を終えて、午後8時40分。メンバー4人はただいま食事の用意をしています。(男性陣は本当に料理がうまい!!調理師免許を持っている須賀君をはじめ、ある材料で美味しいものを作れる小野寺さん、本人もびっくりのパエリアを作り上げた高橋さんと、本当に料理上手が揃ってます。あれ??ももちゃんは?)

アビニヨンの時は5日間、準備期間があったのですが、今回はたったの2日。しかも、フランスでは、佐藤さんが神業で音響・照明をやってくれたのですが、今回は劇場付きの人に、リハ4時間のみの打ち合わせで、音響・照明を頼むことになりました。たったの4時間で、しかも英語でどこまでこちらの意志が伝わるのか?もう、めちゃめちゃ心配でした。(8つのグループが劇場を借りているので、彼も掛け持ちであり、その4時間のみしか時間がもらえませんでした)でも、テクニックの彼が、とてもまじめな人だったこともあり、2日目の今日はだいぶん良くなってきました。(それでも1回、音と照明が違って、私は凍り付いてしまったのですが…)

初日は、劇場がフランスよりかなり狭くぶつかってしまうし、壁が無いから滑るし、音響も照明も心配だし、見ている私も落ち着きませんでした。いきなり、違うところで音が止まったり、明かりがついたり…。音は小さいから、何度も「上げてー!!」って頼んだり、1時間、テクニックの彼の隣で、どきどきしっぱなし。でも、さすが25日間、すでにフランスでやり遂げた水と油!!そんな状態でも、きっちりやり遂げました。最悪のコンディションでも崩れていかないところが凄い。どんどん力をつけているんだなぁ、と思いました。お客さんもすごく笑って楽しんでくれたようで、終わった後もマイムをやっていた、というおじさんから質問攻めにあいました。

そうそう、ここエジンバラの劇場は、鉄パイプで舞台が作られていて、そこを幕で仕切ってあるだけだったのです。壁を使って飛んだり、蹴ったりするシーンが、今回の“見えない男”では見せ場の一つなのに、そのシーンが無くなってしまうなんて!!そりゃだめだー!ってことで、リハの後、板を買ってきて、勝手に壁を作ってしまいました。いやー、妥協しないって素晴らしい!他の劇団の人が見たらかなり驚くでしょう!だって、何も無かったところを歩いているんだから!

フランスでは、めちゃめちゃ攻めて、ようやく最終日に新聞に記事が載ったのですが、今回はもうすでに地元の新聞社2社から予約がはいって、びっくりです。(載るかどうかは別として、何千とある舞台の中から選んで来てもらうだけでも、すっごい大変なんです!)そして、ようやく載せてもらったフランスの新聞を利用しない手はなし!ということで、大家さんのSusan(というよりその旦那)に添削(というより、彼はフランス語が出来る人だったので、私の英文の添削というよりも、原文からの翻訳)してもらって、縮小コピーをし(2000枚)、これから毎日500枚ずつ、計5000枚のチラシに、新聞記事を貼り付けます…。500枚は尋常でない量で、これから毎晩の仕事が増えた…。でも、こっちの新聞にも載って、新しい記事をまたコピーして貼ると言う仕事を増やしたくはあるんですけどね!今日、新聞社など24社に水と油のパンフ・ちらし・フランスの新聞記事を送りつけたので、どこかから反応が来ることを大いに期待しています!

一時は10人での共同生活だったのですが、音響・照明の佐藤さん、通訳の博美さん、しのぶちゃんとフランスで別れ、ただいまメンバー4人と私の5人で生活しています。でも、家がちょうど狭くなったし、いい感じです。食事の量が減って、楽になったー!でも、8人分の食料を買う癖が抜けず、昨日も大量に買ってしまい、冷蔵庫に入らないー!

公演も残すところ、後8日!フランスで学んだことを生かして、後少し頑張ります!では!またの報告をお楽しみに!!


8月8日

うひょー、またもややってしまいました。水と油さん、地元メジャー紙、The Heraldに早くも載ってしまいました!ヘラルドの記者の人が、どういうわけか初日に目をつけ、来てくれ、書いてくれたのです。もったいないのでさわりだけ!“公演全体は、発明とユーモアと新鮮な驚きに満ちており、全ては簡単そうに、そして堂々とした態度で演じられている。そしてその態度が、はらはらさせる精密な動きを奮闘の無い状態に見せている。公演は13日まで!可能なら是非見よう!”追い風が吹いてきています。どうなんでしょうか!しかも、今後、The Scotchmanの記者も確実に来てくれる予定です。風はびゅんびゅん吹いています。あとは、確実にその風に乗るだけです。大道の方も調子が出てきて、いけそうです。

音響と照明をやってくれているファンキーなファット・マン、グレート義太夫こと、Jの活躍により、なんとか舞台も形になっております。彼は、上演中、ブースの中をせわしなくいったり来たりして、みしみしと耳障りな音を出しながら、必死に頑張ってくれております。Thank you! J!でも、出だしの音は、小さめにね!

余談ですが、近くのFish&Chipsの店で、飲み物を買おうと入ると、店の手伝いをしていると思われる息子James(仮名)が、見下しとも取れるような笑顔で出迎えてくれました。いざ、注文しようとすると、「James、あっちにいってろ」とばかりに、オヤジがしゃしゃり出てきて、お金を払うと、「謝謝」と、ちょっと高めのソプラノの聞いた声で、御礼を言ってくれました。そこで、「I’m Japanese」と英語で応戦すると、またもや、「謝謝、謝謝」と私達を見送ってくれました。あれれれれれ?謝謝に出て行けって意味があったかなあ??

以上、すがぽんでした。

藤田琴子です。今日から本格的に、Festivalが始まりました。

メイン・ストリートで、大道しようといつもどおり出掛けていくと、ものすごい人通り&すごい数のスタッフ! なんと、すべての場所は事前に予約されていて、申し込みの遅かった水と油のためのスペースはなし…。親切な香港人のスタッフがいろいろ駆け回ってくれたのですが、その甲斐なく撤収…。その場所以外は自由に大道できるのですが、人通りの多いその道で出来ないのはかなりきつい…。とても、落ち込んだまま、プレス・オフィスに向かいました。

このフェスティバルのスタッフは、地元の人などボランティアが多いらしく、みんなとても親切です。土曜日に会ったスタッフに、プレスからの予約が入ってないかどうか確かめに行くと、3人ぐらいが彼を待っている。散々待たされ、彼の前に座ると、”The Herald….” “Pardon?” “The Herald….” ”Sorry??”って感じで、早口でさらにスコットランド訛りで全く分からないー!(その時点では、The Heraldの人が来たことさえ知らなかったのです!)

で、彼は諦めて、何かを探し始めた!もしや、もしや、これはもしかしてー?? ”Our article is on the paper?” “Yes!!”わーい!!!!! なんてことだー! もう、すっごく嬉しくて、大道をするために場所を探しにいった4人を探して、坂の多いエジンバラの町を駆け回りました! で、劇場前で待つこと30分! ようやく現れた4人に報告!! 3回目だけど、いつものように驚き、喜び、騒ぎ立て、道行く人々の視線を一気に集めました!

明日の朝、早速、フランスの記事の裏に今日の新聞記事をコピーしに行ってきます! ああ、嬉しいお仕事だことっ!! これで、観客数も増えることを祈ります! 長かったヨーロッパ公演も、あと6日です。


8月9日

こんにちは。藤田琴子です。エジンバラ公演も5日終わってあと5日。ここに来て、客足が伸びずに苦戦しております…。アビニヨンでは、公演の開始が6時で、勤めている人も来られる時間だったのですが、今回は4時半開演。客層も若く、その分、取りこぼしている人が多い気がしてしまいます。大道で見て、気に入ってくれても、時間的にこられない人が多い…。こっちの日没は遅く、9時過ぎてようやく暗くなるので、公演が遅い時間だったらなぁ、と、どうしても考えてしまいます。

大道も場所の申し込みが遅かったため、ステージが取れず、場所を求めてジプシー状態…。今日は、Caféが立ち並ぶところでやったのですが、お客さんまでが遠いー!!! みんな、座っているから、じっくり見てくれて客受けはいいのですが、それで満足して劇場には足を運んでくれなさそう…。うーん、お客さんをゲットするのは本当に難しいと感じる今日この頃です…。

それと、エジンバラでは劇場と家が遠いので、毎日バスで通勤!?です。大道の用意と、公演の容易を詰め込んで、衣装を着てバスに乗るものだから、目立つ、目立つ…。たまに、めちゃめちゃ感じ悪く睨んでくる人もいますが、大体は温かいまなざしで見てくれます。でも、その分、昼の大道から、公演終了まで出っ放しなので、かなり疲れます。しかも、楽屋がめちゃ狭いっ!! 8つの劇団が共有するのに、4畳ぐらいしかなく、リラックスできないー。いきなり、着替えている人に出くわしたり、びっくりびっくり。(下着姿を見られた女優さんは意外と平気な顔をしていましたが…)

フランスではお客さんがたくさん来てくれているのに、プレスに載らず、ジャーナリストを求めて奮闘!ここイギリスでは、プレスの人はじゃんじゃん来てくれるのに(明日も2社来てくれるようです)お客さんが伸びないー!うーん、なかなかうまくいかないもんです。

明日、ある劇場で宣伝をする時間をもらったので、それを生かしてなんとかお客さんを掴み取りたいです!!ヘラルド紙の記事を裏面にコピーして、より強力になった宣伝用紙をチラシに貼り付ける作業は今夜も続く…。

ではでは。


8月10日

いやー!今日は何のことを話そうかなー!でおなじみのすがぽんです。つっこみは無用です。

いやー! しかし、今日も雨ですよ。いやなもんですなー雨ってのは! たのみの大道はできないしビラすらくばれないんですから。

そんな中、今日は以前たまたま公演を見に来て気に入ってくれたジェニファーの紹介でとある劇場に向かいました。その劇場では、フリンジで面白いグループを8グループずつ選んでお客さんに宣伝の兼ねて紹介するという企画をしていた。その劇場はいかにもしゃべくりのぴんのコメディアンのための劇場という感じだったので少々狭かったものの、すごくいい感じの舞台でした。あとの7グループはというと、ギターのソロのおっちゃんやら完全に熱唱するおっちゃんそして、しゃべくり漫談と、かなりつわものぞろいでした。もー、ジェニファーったら。

公演も無事に終え、夜の大道に向かう途中これまた以前見に来てくれた台湾の男三人組と出会いました。

彼らも水と油を気に入ってくれたらしくいっしょにビラ配りをしたいといってくれ、早速お願いすると『ちょっつとまってて』とどこかに消えてしまいました。『なんだ、冷やかしだったのか。』と思ったのもつかの間、その思いは覆されたのです。彼らはネタを仕込んでいたのでした。ひとりはヒーロー系のヘルメットにエレキガン、あとの二人はガスマスクと、水と油とは程遠いハイセンスないでたちでエディンバラの人々、そしてわたしたち水と油をも、圧倒してくれました。

彼らのうちのひとり、デニスは7年前まで大阪に住んでいたらしく日本語もぺらぺらの好青年で、水と油の台湾公演実現に向けてがんばってみるといってくれました。なんていい奴なんだ。誠に勝手ながら彼らに水と油海外公演名誉スタッフの称号を送ります。こっちに来ていなかったらこういった人たち会えなかったと思うと、あらためて海外に出て見てよかったと思いましたとさ。

とりあえず今日はこのへんで。


8月11日

こんばんは。藤田琴子です。やっと、やっと今日ステージに上がれました!! というのは、ここ、エジンバラのFestivalは規模がでかいため、劇場でPerformanceをやる人々は大道を自由に出来ないのです。2個あるステージを巡って、15,000の団体がしのぎを削っている状態。で、エントリーに出遅れた水と油に立つ場所はなし…。毎日!?スタッフに嫌がられながらも色々粘っていたものの、全然場所をもらえませんでした。しかし、今日ようやく、2つの団体の空きの時間を10分だけもらうことが出来、ステージに立つことが出来たのです!

お客さんは、前の団体から見ている人が多い中、水と油舞台に登場!やっぱり、立つだけで絵になる人々だなぁ、と再確認!フリンジのスタッフも、前の劇団も後の劇団も食い入るように水と油のPerformanceを見ていました!

今日のネタは、高橋さんの鞄、須賀くんの影、それからバス停でした。舞台がちゃんとあるので本人達にもかなり、やりやすかったようです。そして、終わると拍手喝采!本公演の時間の関係上、無理言って時間を変えてもらった劇団の人々もニコニコ笑顔で、「絶対に行く!」と言ってくれました!ようやく宣伝活動のペースがつかめてきたぞっ!あと3日、チラシも1,000部、増刷したし、なんとか満員御礼にしたいものです!

ここ、エジンバラでは客数は少ないものの、見た人は本当に満足して帰っていってくれます。昨日のレポートにあった、台湾人の3人組に引き続き、今日は現地の女性が公演を気に入って夜の大道も2回見に来て、その上メンバーと記念写真まで撮って行きました。最近、水と油の4人と記念写真を撮りたがる人が多いです。やっぱり黒ずくめの4人は絵になるのね。

それから、イギリス人はフランス人より大味好みです。笑い方が大きい!桃ちゃんや高橋さんがドアにエスカレーターで降りていくだけで拍手喝采…。どうなんでしょうかー??でも、小野寺さん曰く、反応は遅い。フランス人ならももこんが花を出しただけで笑うのに、イギリス人は小野寺さんが食べるところを見て、ようやく笑うそうです。(見えない男をごらんになった人にしか分からないですが)でも、日本のお客さんが全く笑わないところで笑ったり、逆もあったり、その違いはかなり面白いです。

私も遂に、“見えない男”鑑賞回数、30回を超えました!!こんなに同じ公演を見ることは2度とないでしょう!でも、毎日お客さんの反応を見るのは面白いです。もちろん、4人の演技もその日その日で違っているので!やはり動きはどんどんシャープになって、無駄がなくなってきたように感じます。10月の日本公演をお楽しみに!!

今夜は、パブに繰り出しました!高橋さんの体調が優れず、一度も行ってなかったのですが、イギリスも残り少なくなって来たことや、台湾人の彼らが明日、エジンバラを発つこともあり、水と油4人、台湾人の水油ファン3人、私の8人でパブに行きました。

パブではギネス・ビールに初トライ!うまかったー!!めっちゃ飲み易し!そして会話は日本語のできるAlex、英語のできるEric、Denisと、須賀くんの中国語(めちゃうまい!日本人一同びっくり!!!初めて聞いたけど、なんかすごかったー!!彼らに言わせると、「悪くない」中国語らしいですよー!)で、日本人芸能人、漫画ネタに花を咲かせました!台湾には日本のTVドラマや音楽、漫画などが流通しているらしく、めちゃめちゃ詳しい!テレビっ子な彼らは、本当に詳しい。筆談でかなり盛り上がりました。

彼らは本当に水と油を気に入ってくれて、台湾に呼びたい、と言ってくれました。「何か自分にとって、そして周りの人にとって意味のあることをしたい。水と油の公演からは、すごくいろいろなことを受け取ることができるから、台湾の人にも見せたい。だから、自分達は劇場を持っているわけではないけど、呼ぶためのコネクション作りなど、ベストを尽くすから!」と言ってくれました。なんと彼らは19歳!!なのにバイタリティー溢れ、自信に満ちており、実は将来大物になりそうな予感!パワーをもらえた感じで、なんだかとても満ち足りた気分で一日を終えました。すごく会えてよかったなあ、と思いました。こんなに惚れこんでくれる人がいるのだから!!

あと、3日。満員御礼というミラクルが起きるのかー!?(起こすんですけどね!!)


8月12日

こんにちは、じゅんじゅんです。

こちらイギリスエディンバラでの公演も今日を含め後2回になってしまいました。しかしここまでたいしたトラブルもなく良くやった。ホンとに水ちゃん油ちゃん良くやった。荷物もよく運んだ。飯もよく食った。チラシもいっぱいまいた。誰かほめてください。

そんなわけで今日8月12日がやってきた。今日は土曜日、いつもよりはお客さんが来るのではないか、というほのかな期待をのぞかせつつ、街へ向かった。うーむ。やはり人がすごい。平日より一段と人が多くなっている。頑張らねば…。

いつもの大道スペースに行き係りの人に空いている時間をチェック! ここエディンバラではあまりにも参加グループが多いため、勝手に大道をやることが出来ないのです。ハイストリート(メインの通り)にはフリンジのボランティアの人がいて大道の人を仕切っているのです。その代わりちゃんと道路に簡易式の舞台を組んでいて注目度満点。なんとしても宣伝活動として外せないところなのです。

まずは1回目のパフォーマンス。今日から新ネタ投入です。前回公演「スープ」でやった「部屋の中」というシーンを野外用にアレンジしたものを最後にやることにしました。

これが大ヒット! 最初の軽いネタで笑っていた人たちもこの作品をやると何だろうとじっと見ています。終わって挨拶をすると、まるでいつもの公演のような雰囲気になりました。チラシを取りに来る人の数もいつもより多く、「もしかしたら今日はいっぱい来るかも」とみんなでニヤニヤしました。

劇場に入ると、すでにさっき大道を見てくれた人がチケットを買いに来てくれています。「よっしゃ!!!」とみんなでガッツポーズしました。

しかあし!ここで大ピンチ! セッティングの時間になってもテクニックのJが来ないのです。他のスタッフも心配して携帯を掛けつづけているのですが、全然連絡が取れません。Jがイギリスでの音響照明を一手に引き受けているので彼がいなければ公演が出来ません。

4時30分からスタートなのですが、すでに4時32分です。向こうのスタッフも顔真っ青で「もし後5分待て来なかったら僕がやる!」と言っています。お前観客誘導だから作品見てないだろ!! どうやってやるねん! お客さんもせっかくいっぱいきてそうなのに何てことだ! コトコちゃんも青くなりながらQシートを持ってスタッフに説明し始めました。水ちゃん油ちゃん終わりなのか、最後あと2日残して砕け散ってしまうのか…。

その時、巨体を揺らせつつJが走って入ってきました。ソーリー連発です。聞けば彼はエディンバラの状態に詳しくないらしく、車で来たのだけれど、道が通行止めになっているのを分からずに来たらしいのです。それで遅くなったとのこと。お前さあ、連絡ぐらいしろよなー、と僕がいきり立っていると、その横で藤田さんが「いやーJ、来てくれてありがとう。よかったー、ホンとにありがとう、むしろ感謝したいくらい!」と訳の分からないことをいっています。感謝したいって…。一気に俺の怒りも冷め、「ホンと、良かったね。」といささかぐったりしながら言い、Jに「落ち着いて準備してね。」と頼んでいます。ああ、俺って…。

さあ、準備は整いました。お客さんお待たせしました。開場するといつもより明らかに人が多いです。もしかして山が動き始めたか? スタートすると会場はほぼ満員です。やった! イギリスでもお客を呼び始めたか? こうなったらこっちのもんです。気合で作品を終え、カーテンコールに出ると、拍手と口笛の嵐!!!!!! やりました。エディンバラでも水ちゃん油ちゃんクリーンヒットです。

かたづけているとJが降りてきて、いつものように親指を出して、「やったな!!!」と声をかけてきました。さっき遅れたことなど、もはや無かったかのようです。奴とがっちり握手を交わしながら、「お前のせいで寿命が5年縮まったよ…。」と小さくつぶやきました。

劇場を出ると、待っているお客さんに囲まれました。みんな、良かった!とか素晴らしかった!!!とかいってくれています。あとで聞くと65人の人が来たとのこと。いやー宣伝の薄い中よくこれだけ来てくれました。お客さんありがとう。

イヤー良かったなー。こっちでは宣伝で苦労したので、お客さんの動員はホンと心配していたのです。良かった良かった。あとは日曜日を残すのみ。気合と根性とテンションと勢いと体力とパワーと、まあ総動員で頑張ります。

ではまた。じゅんじゅんでした。


8月14日

やったー!100人達成!とはいきませんでしたが、今日もやりましたよ。61人でございます。

今日は朝からあいにくの土砂降りで、強敵のフレンジ・サンデーは、ほぼ壊滅状態になったものの、わたくしども水ちゃん油ちゃんも大道が出来ないんではないか、という、最終日にもかかわらず、大ピンチでした。朝ご飯の時、高橋さんがボソッと、「俺いつも遠足の時、雨だったんだよなぁ」と呟きました。どうやら淳さんは雨男だったのです。こんなところに敵がいたとは!!と楽しく談話をしながらいつもの出発時間(1:30)を待ちました。

しかし、どうでしょう。1時半になった途端、雨はぴたっとやみ、神風到来です!メイン・ストリートに設置された大道用のステージは、予定していたグループが軒並みキャンセル!そして、フリンジ・スタッフを仲間にしていたこともあり、「好きな時に使っていいよ」と、ここにも風は吹き荒れていました。ほぼ、独壇場で大道をし、ちらしも撒ききり、きっちりとお客さんゲッチュー!昨日に続き、今日もいけるぞ、勝ちを確信しました。しかし、わたくしすがぽんは、本番入れ込みすぎ、きっちりと失敗をしてちょっとがっくりモードです。

いやー、終わってみると35回、長そうで短いっすよ。人前っていいっすね。考えても見てください。わかるかなぁ?全くの知り合い抜きの1,316人!思えば、連日ゼロ人を覚悟していた前半戦、毎日、「今日は大丈夫?」「今日は大丈夫?」と、4人でびびっていたのに、無事にゼロを経験することなく、平均、37.6人というありがたい数字が出ました。こんなに多くの人に見られて、感無量でございます。伝わりました?分かっていただけました?この感動が!!

みんな、抑えてくれたのか、1度も喧嘩することなく、大きな怪我も病気もなく、無事終了です。しかし、家に帰るまでが遠足です。緊張を解くことなく、みんな日本で10月の公演に向け、更には来年のことを念頭に置きつつ、これからも頑張ってまいりますので、さらなる応援のほどをよろしくお願いいたします。見に来てくださったお客様、現地で協力してくださったみなさま、そして日本でどぎまぎしながら応援してくださった皆様、本当に本当に言葉では言い表せない感謝でいっぱいです。ありがとうございました。これから、3日間、エジンバラで羽を伸ばし、一足先に日本に帰ります。(8月18日成田着)それでは、みなさまご唱和ください。1!2!3!だー!!!!

藤田琴子